インターネットは,いまや社会のあらゆる場面を支える基盤になり,「あって当たり前,動いて当たり前」の存在になりました。

大学におけるキャンパスネットワークや情報システムもその一つです。普段はあまり意識されることはありませんが,これらが安定して動いているからこそ,授業や研究が安心して行えます。

でも,その裏側がどうなっているのかを考えたことはあるでしょうか。

先端ネットワーク研究室に所属する教員は,研究活動と並行して,大学全体のネットワークや情報システムの企画・構築・運用にも携わっています。理論を考えることと,実際に動かし続けること。その両方に関わってきた経験を活かし,本研究室でも「研究」と「実践」を大切にしています。机の上だけで完結する研究ではなく,実際に動かし,社会につながる研究を一緒に進めていきたいと考えています。

■ 研究室の理念

本研究室では,「自分のテーマを見つけ,自分の力で考える」ことを大切にしています。

最初から難しいことを求めるわけではありません。研究室に配属された後は,オンボーディングプログラムとして,教員や先輩と一緒に研究室に慣れてもらう期間を設けています。まずは基礎を学び,これまでの研究を知り,小さなテーマから挑戦していきます。その中で,「自分はこれが面白い」と思える分野を見つけていきます。

もちろん,これまで研究室で取り組んできている研究テーマや,他研究機関・企業等と一緒に共同で取り組んでいる研究のテーマに取り組むことも可能です。教員と相談しながら自分で取り組む研究テーマを考えていきます。

さらに,先端ネットワーク研究室では,机の上だけで終わらない研究を目指します。実際に動くシステムを作り,実環境で試し,評価することを大切にしています。

■ 日々の研究活動

研究室にはコアタイムはありません。ただし,週1回の研究室ミーティング(Advnetミーティング)では,研究の進捗報告や方向性の相談を行います。週に一度は全員で顔をあわせ,全員で気軽に議論できる場にしています。必要に応じて個別に相談する時間もあります。

また,情報セキュリティ研究室や情報システム環境研究室との合同ミーティング(ラボミーティング)も行っています。異なる研究室同士で自分の研究を説明することは,理解を深める良い機会になりますし,新しい視点からの意見も得られます。

4年生前期には,基礎ゼミ実習ゼミを通して,ネットワークやセキュリティ技術を中心に,研究に必要な専門知識や技術を身につける時間も設けています。いきなり高度な研究に取り組むのではなく,段階的に力をつけていけるようにしています。右図は学部4年生のおおよその年間スケジュールです(クリックすると拡大します)。

■ 研究環境

研究活動の拠点は情報メディア教育研究センター本館です。
学生居室は固定席とフリーアドレス席を用意しています。スペースの都合上,学部生はフリーアドレス席を中心に利用してもらっていますが,実験等でスペースが利用する場合は固定席を利用してもらうこともできます。

サーバ室にはラックサーバ(仮想化サーバ)やネットワーク機器を整備しており,実験用のサーバやネットワーク構築も可能です。クラウドサービスも積極的に活用しています。

研究に必要な機材やソフトウェアがあれば,できる限り整備します。実際に,学生の提案をきっかけに導入された設備もあります。研究環境は固定されたものではなく,学生と一緒に作り,改善していくものだと考えています。

安心して挑戦できる環境を整えることも,研究室の大切な役割です。

■ 学会発表と論文投稿

研究成果,学会や論文誌を通して社会に発信します。

国内外の研究会や国際会議での発表,論文誌への投稿にも積極的に取り組んでいます。学会発表では,専門家に向けて自分の研究をわかりやすく説明し,質疑応答を通じて議論を深めます。この経験は、技術者・研究者としての大きな成長につながります。本研究室では以下の研究会や国際会議で発表を推奨しています。もちろんこれ以外でも研究テーマに合致する発表の場があれば積極的に発表していきます。

  • 国内研究会
    • 情報処理学会インターネットと運用技術研究会(IPSJ IOT)
    • 電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究会(IEICE IA)
    • 電子情報通信学会ネットワークシステム研究会(IEICE NS)
  • 国際会議
    • IEEE COMPSAC
    • IEEE ICCT-Pacific
    • IEEE TrustCom
    • IEEE/ACM ICSE
    • CANDAR

論文投稿にも積極的に取り組んでいます。文章として研究成果をまとめる過程で,自分の考えが整理され,研究の完成度が高まっていきます。これまでの投稿実績(一例)としては以下のような論文誌があります。

  • 情報処理学会論文誌
  • IEICE Transaction on Communication
  • IEEE ACCESS
  • IEEE TNSM
  • MDPI Future Internet

このような経験は将来どの分野に進んでも大きな武器になるはずです。

 

■ 外部活動

研究室での研究はもちろん大切ですが,学びの場は研究室の中だけではありません。

ネットワークや情報システムの分野には,JANOGや地域NOGといった技術コミュニティがあります。そこでは,実際にネットワークを運用している技術者や研究者が集まり,現場での経験や課題を共有しています。こうした場に参加することで,教科書や論文だけでは得られない知見に触れることができます。

また,サイバー防犯ボランティアなどの社会貢献活動や各種アイディアソンやハッカソン,テック系イベントに参加することも,とても意義があります。自分の知識や技術を社会に役立てる経験は,大きな成長につながります。

これらの活動は,研究テーマと直接関係していなくても構いません。大切なのは,外の世界に触れ、技術がどのように社会で使われているかを知ることです。研究室としても,こうした活動への参加を積極的に応援しています。研究だけでなく,コミュニティや社会とのつながりも大切にしてほしいと考えています。

■ 大学院進学と就職

本研究室では,大学院への進学をひとつの選択肢として推奨しています。研究にじっくり向き合う時間を持つことで,専門性や論理的思考力は大きく伸びます。修士までの3年間で専門分野を確立し,そこで身につく力は,将来の進路において大きな財産になります。

一方で,学部卒業後に就職することも,もちろん大切な選択です。ネットワーク設計,サーバ構築,クラウド活用,セキュリティ対策,ログ分析や自動化など,本研究室で身につける知識は,IT企業,通信事業者,システムインテグレータ,クラウド関連企業など,多くの分野で基礎となるものであると思います。

また,研究活動を通して身につくのは,専門知識だけではありません。

  • 自分で課題を見つける力
  • 調べて理解する力
  • 技術を実装する力
  • 自分が理解した内容を他人にわかりやすく説明する力

これらは進学しても,就職しても,必ず役立つ力です。進学か就職かは,本人の意思を尊重します。どの道を選ぶにせよ,着実に研究に取り組めるようにしっかりサポートします。

■ こんな人を歓迎します

最初から専門的な知識や高い能力が必要なわけではありません。

新しいことに興味を持てる人,手を動かすこと(プログラミングやシステム構築)が好きな人,サーバやネットワークの裏側を知ってみたいという人,自分で考えることを楽しめる人。そのような姿勢を持っている人を歓迎します。

研究ではうまくいかないことも多くあります。しかし,みんなで議論し,試行錯誤を繰り返しながら前に進む経験こそが,大きな成長につながります。分からないことをそのままにせず,調べ,考えて,相談できる人と一緒に研究したいと思っています。

■ 最後に

研究室は,単に所属する場所ではなく,自分の可能性を広げる場所だと考えています。自分で考え,自分で試し,成果を形にしていく過程はとても充実したものです。

研究と実践の両方に触れながら,社会を支える技術を一緒に研究できることを大切にしています。

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